著者 七澤賢治(ななさわ・けんじ)
A5判 上製 271ページ
「貴方の中にある本当の言葉の力。
その力こそ物事を生み出す結びの力、つまり創造の力なのです。
その力の名前を言霊といいます」
七澤言霊学、かく語りき。
七澤賢治講話選集三部作の完結篇!
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時代を超え、分野を超え、古今東西の人類史、地球史、宇宙史を総覧する探求を続けてきた著者、七沢賢治氏の思索と実践の記録を講話でたどる七澤賢治講話選集もいよいよ大詰め。三部作の掉尾(とうび)を飾るのは「言霊」篇です。
「言霊」という漢字は、言葉のもつ不思議な力を指す言葉として、古くから多くは「ことだま」と読まれてきたものですが、本書では「げんれい」と読みます。そこには、「ことだま」という読み方が示す旧来の意味合いとは明確な一線を画す、著者が受け継いできた「言霊学」の考え方が反映されています。
<言霊は、言葉として発声される手前のカタチにならない状態のことをいいます。言霊学とは、人間が知覚できる言語(言葉や文字)の状態になる以前の様子を言霊とし、それを捉えんとする学問のことをいいます。>(本書より抜粋/以下同)
「言葉として発声される手前のカタチにならない状態」にあるのですから、「言霊」は「言葉」とは呼べません。あえて言葉という言い方を使うなら、言葉の素になる目に見えないタネのようなもの、といったらいいでしょうか。形や音になっていないぶん、言霊は人間の意識につながる知覚ではとらえられないけれども、逆にいえば、思考や感情に左右されないものでもある。そのような場で生じてくる「言霊=げんれい」には、「現実を創造する力」が宿っていると著者は語ります。
<「言霊」には、物事を言葉で言い表すことによって、それを実現する力があるのです。
言葉として表現することは、その源にある言霊を創造という形に大きく展開していくということです。>
では、なぜ「言霊」には創造の力が宿っているのか?
それは、「言霊」には結びの力があるからなんですよ、と著者は言葉を継いでいきます。
<何かが「立ち現れる」とは、脳の中で何かと何かが産霊(結び)つくことを意味します。(中略)じつは、ここに産霊(結び)の力が働いています。「言霊が実現する」とは、自分が言霊とつながること、そして、言霊と現実が産霊(結び)ついて初めて物事・事物が実現することを意味します。>
このようにして、著者の「言霊」講話は、日本神話の読み解きから、七澤言霊学の新発見ともいえる新しい視座「日本語の音と周波数の関係」にまで広がり、さまざまな展開をしながら、「言霊」と「言葉」の関係、そして、それらが現実創造につながる原理とその意味するところをめぐって、ゆったり流れる大河のように進んでゆくのですが——。
といっても、初めて「げんれい」という音に触れた方の脳裏は、「何のことやら?」というクエスチョンマークがいっぱいかもしれません。見えず、聞こえずの「言霊」をどうやって感じたらいいものか、と。
正直なところ、まるで抽象画と具象画をまぜこぜにした名画を観たあとのような読後感をさてどのように表現したらいいのか?------担当編集も迷うところではあるのですが、一つだけ自信をもって言えることは、「騙されたと思ってまず読んでみてください!」
「読めば読むほど読み返したくなる。わからなくたって読み進めたくなる」のが七沢賢治講話の最大の魅力なのですから。
前二巻を読まれて七澤賢治講話の〝めくるめくような一筆書き〟のファンになった方はもちろんのこと、「げんれい」という音に初めて触れ、最初は摩訶不思議な感を抱かれた方も、流れに身を任せていくうちに、いつのまにか新しい発見と納得に誘われるに違いありません!------と、断言したいと思います(笑)
どうぞ、気の向くまま、気になるところから、七沢賢治ならではの「言霊の世界」をお楽しみいただけたらと思います。
【目次】
編纂者まえがき
第一部
言霊学の始まりと継承
言霊学から新言霊学へ
第二部
言霊
第三部
布斗麻邇
巻末資料
Ⅰ 語句解説
Ⅱ 言霊百神一覧
Ⅲ 言霊学主要人物系譜
Ⅳ 見出し索引
著者プロフィール